ドイツは古くからぶどうを栽培してきた地域の中でもっとも北に位置するワイン生産国です。北緯42度~52度といった(北海道よりも)高い緯度で育つぶどうは、北国特有のやわらかな陽光に照らされ、じっくりと時間をかけて成育します。
川面からの照射や、北国の太陽を少しでも有効にとり入れるため、ドイツのぶどう畑の多くは、ラインやモーゼルやマイン、またはそれらの支流の、川辺リの、驚くほど急な斜面に広がっています。旅行く私たちの目には鮮やかで美しい景観も、ぶどう栽培農家の人々には大変な作業となるところですが、南向きの急傾斜の畑からは、毎年のように高品質のワインが産出されています。
また、アンビシャスな若手醸造家の努力により、国境をこえた数々の有名なワインコンテストでもトロフィを獲得するなど目が離せないドイツワインです。
(右 モーゼルワインの故郷 ベルンカステル・クース Bernkastel-Kues)
◆ドイツワインの品質等級◆
EUではワインをターフェルワイン(日常用)と上級ワインというように大まかに2つに分類しています。
ドイツで製造されるターフェルワインは全体の5%以下といわれドイチャーターフェルワインと
その上のドイチャーラントワインがありますが、これらはほとんどドイツ国内で消費されています。
上級ワイン Q.b.A.(ラベルにはQualitatswain b.A.などと記載されることもあります。)
ドイツワイン法で定められた13の生産地域のただ一つの地域のぶどうだけから造られたこだわりのワインです。
その土地土地の味わいが楽しめる爽快で軽やかな味わい。
肩書き付高級ワインQualitatswain mit Pradikat = Q.m.P
収穫時のぶどうの成熟度によって次の6つのランク(等級)に分けられます。
カビネット(Kabinett)
まろやかで何とも優雅な口当たり。高級ワインの中では最も軽やかな口当たりで、
しかも低アルコール。お酒が少し苦手な方にも楽しんでいただけるワインです。
シュぺートレーゼ(Spaetlese)
ぶどうの収穫をあえて遅らせ、熟成が進んだ「遅摘み」の果実から造られたワイン。
多くはマイルドに仕上がっています。味の奥行き、深みを求めたい方おすすめです。
アウスレーゼ(Auslese)
完全に熟したぶどうの房だけを選んで摘み取るという、いわゆる「房選りワイン」です。
ゆったりと漂う香りとコク深さをお楽しみ下さい。
ベーレンアウスレーゼ(Beerenauslese)
アウスレーゼをさらに枝につけたまま放置し、完全に熟しきった果粒や、貴腐菌のついた
果粒だけを一粒一粒よりすぐって造る「粒選りワイン」。手間ヒマかけただけあり、果実味と
まるでハチミツのような贅沢な甘味が楽しめます。
アイスワイン(Eiswein)
ぶどうを樹になったまま放置し、マイナス8℃を超えるような大寒波が訪れ、
ぶどうが氷結するのを待って未明に収穫、大急ぎで搾った果汁で造ったワインです。
ぶどうの中の純粋な水分は氷となってとばされ、エキスの高い果汁を得ることが出来ます。
若いうちは突出したさわやかな酸味と甘味が感じられ、やがて熟成するうちに円熟味をおびた
味わいに変わってゆきます。最高級の甘口ワイン。
トロッケンベーレンアウスレーゼ (Trockenbeerenauslese)
ほぼ「ほしぶどう」状態の貴腐果から造る、最高級の味と香りにつつまれワインです。
ドイツワインの最高傑作で、よほど天候の良かった年にしか造れません。
◆最近の傾向として◆
より果実味の凝縮した果汁を得て、「品質等級にとらわれないワイン造り」を行う有力なワイングートがかなり増えてきました。ワインのバランスの良さや、強さといった、広がりのある評価も重視されるようになって、品質等級は「一応の目安」といった傾向もあります。
◆ワインの保管について◆
開栓前は、直射日光を避け、温度差の少ない冷暗所に保管して下さい。専用のセラーや蔵などがあれば一番ですが、新聞紙などにくるんで押し入れなどに入れていただいてもほぼ大丈夫です。
飲み残したワインは、きっちり栓をしてなるべく空気に触れないように冷蔵庫で保管すれば、3,4日から10日くらい(期間はワインの品質によります。)は保存が可能です。
◆飲みごろ時期と温度◆
使用されたぶどう果汁の品質により、ワインの「造り」により、ぶどう品種によっても、ぞれぞれのワインにそれぞれの飲み頃のピークがあります。今すぐお飲みにならない方が美味しくなるものや、20年といった長期の熟成をお楽しみいただけるワインも稀にありますが、すべてのワインが時を経るほど美味しくなるというものではないことをご承知下さい。
ワインは冷やしすぎると香りや風味がとんでしまうことがあります。季節や体調や、もちろんお好みもありますが、お飲みになる2時間くらい前に冷蔵庫に入れていただくくらいで十分でしょう。
◆酒石(ワインシュタイン)◆
ボトルの底や、コルクにキラキラと輝く、あるいは発泡スチロール状の結晶体をみかけることがあります。
これは土中深く根を張ったぶどうが吸収したミネラル(多くはカリウム)とワインの酒石酸が結合したもので、品質的に優れたワインによく見られます。現地では「ワインのダイヤモンド」と呼んで珍重されていて、無味、無臭で、健康に害を及ぼすような異物ではありませんので、ご安心下さい。
◆コルクについたカビ◆
キャップシールを取るとコルクの上に黒いカビが付着していることがあります。本格的な醸造蔵で働く人々は黒カビに覆われているケラーを誇りにしています。つまり黒カビが発生するような状態がワインには最適ということです。カビは湿度が76%になると発生します。抜栓する前にきれいにふきとれば、なんらワインの品質に悪影響を与えるものではありません。むしろワインが良好な状態で保管されていた証ともいえます。
(右 黒カビにおおわれたケラー バーデンの銘醸、ワイングート・ベルヒャー Weingut Bercher)
◆ワインの中の浮遊物(オリ)◆
ワインの中に時々オリが発生していることがありますが、これは天然のぶどう果汁が醗酵して生じる酒石、酵母カスなどや、ボトル熟成中に析出(固体化)したフェノールなどで、オリが発生することはむしろ自然ともいえることです。白濁して透明度がなくなったりしていなければ問題はありません。容器や梱包資材は、お住まいの各自治体の定めに従って、処分下さいますようお願い申し上げます。